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10歳と9ヶ月   ティンが旅立ちました。



10歳と9ヶ月。(推定)

5月19日   午後3:30

ティンこと
ティンクが虹の橋へと旅立ってしまいました。




これを読んでくださっている皆様も驚かれていると思いますが
私自身もあまりの事態の進行の早さに驚き、戸惑い、まだ受け止められていません。





まぁったりとした時間が流れていた我が家に異変が起きたのは3月。

ある日、ティンが鼻水を垂らしておりまして。

実はティンのワクチン接種後の副作用の出方が怖くて
2年ワクチンをパスしていたんです。

ワクチンの重要性は理解していたので『打ちに行かなくちゃ。』という思いと
一方で、『成猫になってからはワクチン接種は3年に一度でも本来は問題ない。
日本で年1回が推奨されているのは製薬会社の存在が~(省略)』
というような情報を拾い読みし、ってことはまだ猶予はあるぢゃん♪と
先延ばしにしてしまっていたのです。

でも今年は行かなくちゃ!
先生とよく相談して対処しなくちゃ!
冬も乗り切れたから、気温がもう少し上がって、ティンの負担が少ない時にと
同居人とも話していた矢先でした。

幸いそれ程ひどい状態ではなかったのと
ティンの涙目用に注文した猫用リジンが届いた時だったので
それを飲ませて様子を見ることに。

次の日には鼻水もピタッと止まり、ティンに変わったところもなし。

ならば当分リジンを摂取させて、また症状が出るようなら病院に行こうと。
実際、よく食べ(ティン的なって意味で)元気にかっ飛び
いっぱい気持ち良さそうに寝る・・・
そんな毎日がまた戻ってきました。

『一応ひと段落ってことなのかなぁ~』と思っていた矢先の4月13日。

朝まで普段と変わらない状態だったのに、午後からダルそうな様子。

夜。
ゴハンを完全スルー。
また鼻水。左目に瞬膜。

4月14日。

病院へ。

先生にこれまでの経過を説明。
最後のワクチン接種の時から比べて体重が減っているので血液検査をすることに。

検査結果。

腎臓、肝臓、血糖値。
体重減に繋がりそうな項目はすべて問題なし。
というか、その他の数値を含め『健康体』と呼べる結果でした。

なので風邪と思っていいでしょうと。

体から力が抜けるぐらい安堵。

抗生剤の注射&薬を処方してもらって帰宅。

帰宅後。

結果を同居人にLINEした直後、ティンからゴハンの催促。
大好きウェットごはんを1缶の半分出したらあっという間に完食。
その後も30分~1時間おきぐらいの催促(笑)
こちらが心配になるぐらいの勢いでした。

次の日からは異常な食欲は落ち着いて
普段の量よりちょっと余計に欲しがるかな?
ぐらいの量をキチンと完食。

ただ、ティンはもともと食が細い子なので
普通の猫様が食べる量よりも全然少ないんだけど。
でも食べてくれるってことが大事だから。

先生からももう少し太らせた方がいいと。
ただ年齢的なこともあるから、高たんぱくな食事でではなく
脂肪分を多くして太らせた方がいいと。
A5ランクの脂身いっぱいの牛肉とか大トロとか。
生で食せるオイルとか。

牛肉はいままで食べてないからさすがに食べないと思ったけれど
大トロは大好きだし。

で、手っ取り早く試せるオイル(オリーブオイル)を数滴ゴハンに垂らしてみたら
全く気にする様子もなく食べてくれて。
ならばもっといろいろ効果が期待出来そうなオイルを買ってみようと
ネットで探して、サーモンオイルとかどうかなぁと。
ただ、レビューを読んでいるとかなり好き嫌いが分かれるみたいで。
どうしようかな~・・・と思い悩みつつ
+オイルちょっと足しゴハン完食&格闘しながら薬の毎日。

4月23日。

左目に違和感があるらしく、やたらとこすっている。
翌日病院に連れて行こうと思ったんだけど、先生休みで断念。

夜になってまた瞬膜突出。
食欲が全くなくなってしまう。

4月25日。

再び病院。
目は結膜炎でしょうとのこと。
注射と薬。今回は目薬も。

この日は結局食欲は戻って来なくて心配したけれど
翌日の夜からまたちょうだいちょうだい攻撃。
すごくホッとした。

次の日から多少のムラはあるものの、ゴハンを食べてくれて。

4月30日。

なんとなく元気がない感じ。
治まっていたクシャミが復活。

5月4日。

食欲が落ちてまた瞬膜突出。

5月5日。

病院。
注射&薬。

帰宅して30分ぐらい経った時、連続クシャミ。
その時ビックリするぐらいの鼻水。
これだけ溜まってたらゴハンの匂いなんて分かんないから食欲なくなるのも納得。

夜になって瞬膜は出なくなったのだけれど、相変わらずゴハンは拒否。
ティンを抱っこしながら、ふと見た横顔で、鼻筋がすこ~し腫れてるのに気が付く。
正面から見ていても全然分からない。
横から見てやっと『ポコッ』としてるのが分かる程度。

ネットで調べると
『副鼻腔炎』『蓄膿症』
この辺が近い気がした。

5月6日。

この日もゴハンを食べてくれない。
心配でまた病院へ。

注射&点滴。

鼻の腫れのことを話す。
今の時点では食欲が戻るようにすることが先で様子見。

5月7日。

鼻筋の腫れは引いたみたいで横から見ても膨らみはなし。
でも相変わらず食欲が戻らない。

3日以上食べないでいると、今度は肝臓に影響が出るらしい。
可哀想だけれど、カリカリをお湯でふやかして練ったものを小さなお団子にしたものを
1個ずつ口に入れて強制給餌。
吐いてしまうんじゃないかと心配だったけれど、吐かずに済んだ。
これでちょっとは栄養になる。

5月9日。

鼻水とクシャミが増えてきた。
でも、ゴハンを出すと自力でちょっと食べてくれるようにもなる。
この調子で体調が良くなるのを期待。
強制給餌は継続中。

5月11日。

夕方からまた不調。
瞬膜突出。

少し前から『本当にただの風邪なんだろうか…』という思いがあったのだが
どんどんその思いが強くなる。

5月12日。

病院。
注射&薬。

通院し始めに3キロあった体重が2.8キロに。
鼻筋の腫れが引いたことを話すと、先生が腫れが額に移動してる事に気付く。
鼻筋ばっかり気にしていたので、言われるまで私は気付かなかった。
確かにちょっと・・・。腫れている。

今年は気温の上下が激しくて、体調を崩す子達が多いんだそう。
ティンと同じようにぶり返して通院してる子も結構いるとか。
ならばティンも仕方ないのかなぁ…なんて思ったり。

5月13日。

瞬膜は出なくなった。
自分でカリカリを数粒食べたり、おやつのかつお節を一掴み食べたり。
でもウェットごはんはほぼスルー。

『強制給餌』って言い方がイヤだったので『頑張ろうゴハン』と命名。
ティンには「頑張ろうゴハンの時間だよ~」といいつつ、食べてもらう。

もともと食の細いティン。
食べてもらうのも1回にウェットで20グラムちょいが限界。
ならば少しでもカロリー摂取できるように、ヒルズのa/d缶に高栄養ペーストのフェロビタ
カロリーエース、ヤギミルクの粉末を混ぜて注入器で口に入れる。
それぞれは美味しいゴハンなのかも知れないけれど
これだけ混ぜるとどうなんだろ・・・。
でも今は我慢して食べてもらって、病気と闘える体を作らなくちゃ!

5月16日。

また夕方から不調。
夜になって瞬膜突出。

ここまで同じことの繰り返しで、しかも間隔が短くなってることを考えると
やっぱりどうしてもただの風邪だとは思えなくなり、セカンドオピニオンを決断。

5月17日。

セカンドオピニオンで違う病院へ。

今までの経過を時系列に書きだしたメモを見せながら説明。

・通院初めにした血液検査の結果や触診で、額の腫れ以外は問題ない。

・今までの風邪のための治療の結果が出ていないことから
違う可能性を考慮する時期であると思う。

・額の腫れについて。

キチンと検査してからでなくては正確な判断は出来ないが、腫れ方から見て

①鼻腺がん
②悪性リンパ腫
③重度の蓄膿症

ここら辺りが疑わしい。

正確に判断するにはCT検査をすることを勧める。

・・・・・・大体、こんな説明だったと思う。

『がん』という病名を聞いて、途中ちょっと記憶が飛んでる。


CT検査をするには全身麻酔が必要だが、今の体調なら十分可能だと思うとのこと。
先生が以前勤めていた病院にCT検査の機器があるので
そこだったら電話ですぐ予約を取ることが可能。
それ以外には大学病院などだが
もしかすると予約が取れるのは先になるかもしれない。・・・etc
CT検査についての説明を受ける。

主治医と相談してこれからのことを決めてもいいし、自分に任せたいと言ってくれるなら
出来る限りのことをお手伝いする・・・と言ってくださった。

ただ、先生の以前の勤め先の病院は近いとは言い難く
車等の移動に慣れていないティンに負担にならないかと心配でその場では保留。
電話連絡でもその後の手続きは大丈夫ということで、帰宅。

病院まで歩いて行くにはちょっとだけ距離があったのと
日曜日は午後の診察が休みになる病院だったのでタクシーで往復したのだけれど
ティンにとって車に乗るのは我が家に来た10年以上前以来。

着いた先では知らない人に触りまくられるわ、口を無理やり開けさせられるわ
オシリに何か突っ込まれるわで、ドキドキの連続だったことだろうな。
そのせいか、帰宅後は落ち着かない様子で家の中を歩き回って。

やっと北向きの同居人の部屋が落ち着くと思ったようで
そこで香箱座り。

少しでも落ち着いた環境を作ってあげようと、去年の夏、IKEAで買った
子供用のテントを組み立てて中にベッドを置いた。

IKEAの子供用テントは、エアコン嫌いのティンが
エアコンを点けたリビングに居られるように風除けとして買ったの。
人間の子供用だから案外場所を取るのが難点なんだけど
逆に考えると、この子達の大きめのベッドを2台入れても余裕のスペースがある。
使ってくれるかどうか賭けの部分が大きかったけど
もうそんなに若くないうちの子達が熱中症にならないように
涼しいリビングで過ごせるようにしてあげたかったんだよね。

結果は成功♪
ティンは気に入ったようで、どこにもいないな~と探してみると
この中でマッタリと過ごしていたり♪

冬場は我が家の暖房のメインはガスファンヒーターだから
危険なので閉まったのだけれど、またそれを組み立てた。

中にベッドを置くと、自分からトコトコッと入って行ってベッドに座り込んだ。
やっぱり賢い子だな~と嬉しくなった。

次にすることはCT検査をしてくれる所を探すこと。
ネットで検索を始めると簡単に見つかった。
というより、検査が出来る場所自体がもともと少ないせいだったのだけれど。

我が家から駅でいうなら3駅先にあった。
この程度ならティンの負担もそれ程心配しなくてもいいかもしれない。

同居人にそこそこ近場に見付けたことを報告。
私としてはセカンドオピニオン先の病院にCT検査を受ける手伝いをしてもらって
結果を聞いてから、主治医のK先生に今後をお任せするか、新しい先生にお任せするか
決めたいと思っていることも伝える。
同居人も賛成してくれた。

決めたからにはまず連絡を。
そう思ってセカンドオピニオン先の病院に電話したが繋がらない。
午後休診だから誰も出ないのだろう。
次の日の朝一に電話することにした。

気が付いたら夕方5時。
買わなくてはいけないモノもあるので買い出しに行くことに。

テント内のベッドにいるティンにお留守番を頼んで外出。

ペットショップに行ってティン用のカロリーエースを数缶と麻呂用の乾しカマ購入。
カロリーエースはネットだと1缶¥50以上安く買える所があるのを発見したので
ネットでがっつり注文するつもりだけど、届くまでの繋ぎ用。

100均でティンの頑張ろうゴハンの注入器を洗うためのストローブラシとか
足の速いフードを小分けして冷凍できるようにシリコンカップとか購入。

同居人に「自分達の晩御飯どうする?」と聞かれて
2日間水分以外摂ってなかったことを思いだした。
ティンの食欲がなくなっていくのに比例して、私の食欲もなくなっていた。
それでも何とか1日1食、少しでも食べようと努力はしていたのだけれど。

CT検査をして出る結果がどうなのかまだ分からない。
楽観はしてはいけない。
だけど『どうしてこんな風に具合が悪いんだろう。どうしてあげたらいいんだろう』と
漠然とした不安を胸にしまいながらの毎日よりは
どんな結果が出るにしろ、次にすることは決まった。
それが嬉しかった。
久々に『何か食べたいっ!』と思った。

パワーが出るように、近所の焼肉屋へ。
これからのことを同居人と話しながら食事。
まともに食事をしてない日々が続いていたから、大した量は食べられなかったけれど
それでも近頃にしたら食べたな~♪と思える程度には食べられた。

帰宅したのは午後8時近かったと思う。
「ティン、ただいま~」と声を掛けながらテントを覗くと
・・・ティンがいない。

違う場所に移動したのかと、移動出来るようにしていた私の部屋、リビング、キッチン
脱衣所を探してみたがどこにもいない。

窓も全部閉めてあったから外に出たのは考えられない。
なのにどこにもいない。



なんかデジャブ。

そういえばティンが我が家に来て間もない頃、同じような事があったっけ。
探して探して、やっと家具の隙間にはまっている所を見付けたんだよね。

ティンは大雨の中行き倒れていたところを保護された子。
ひどい風邪を引いていて、まだ治療中だった。
その風邪のせいで鳴き声が出せない状態だった。
だから鳴いて助けを求めることが出来ない状態だった。

あの当時は私も働いていたから、ティンは一人でお留守番。
そしてひとりで冒険している最中に家具の隙間に落ちてしまったんだろうな。

そしてまた同じようにティンを探しながら、ティン程度の大きさの子だったら
入り込みやすい隙間が我が家にはいっぱいあるんだなぁと再確認。

一部屋ずつ徹底的に探さなくちゃ・・・と思った時、同居人が
同居人の部屋の隅に置いてあった段ボールと壁の隙間にいたところを発見。

私が抱き上げて落ち着くように抱っこをする。

しばらく抱いていてそろそろ落ち着いたみたいなので
着替えるために同居人にティンを渡すと、嫌がってシャァァァッ!
滅多にないことで驚く。

着替えるために自分の部屋に行き
リビングに戻って歩き回っているティンを見て更に驚いた。

足がふらついている。

そして何をするわけでもなく、ただ歩き回っているような。
時々立ち止まって、また歩き出す。
部屋の隅に立ち止って、ユラユラ揺れていたり。

そんなティンを見て、不意に悟った。

私達が闘わなくてはいけないのはもう病気などではなくて
残された時間となんだって。

心臓を鷲掴みされたような痛み。

でも。

何故か腹が決まった。


歩き回っているティンを抱き上げた。
そして話し掛け続けた。

保護先のケージの中にいるのを同居人が見に行って写メを送ってきたこと。

一目見て、私の運命の子だと分かったこと。

引き取りに行った時のこと。

ティンがいなくて泣きながら家中探し回った時のこと。

初めてやっと出た声で鳴いてくれたこと。

無表情だったティンがどんどんティンらしくなっていってくれたこと。

一緒に遊んだこと。

本気でケンカした時のこと。

いっぱいいっぱい今までの私達のことを話し続けた。
涙が止まらなくなって話すのが大変だったけど、ずっと話し続けた。

私の声を聴いていて安心したのか、大人しく抱かれてくれていた。


一時期治まりつつあった鼻水がまたいっぱい出るようになっていた。
横にさせると苦しいようですぐ起き上がってしまう。

膝を立てて座り、腕で頭を固定するようにすると少し楽らしく
そのままお腹の上に載せて夜を過ごした。
私はずっと話し掛け続けて、ティンは鼻を鳴らしながらも
やっと寝息を立ててくれた。

時々私もウトウトしながら朝を迎えた。


次の日も状態は変わらない。
抱いていても時々もがいて下に下りたがった。

下ろしてやると、またフラフラと歩きだす。
それ以上進めない場所に入り込んでしまうとそこでユラユラ。

「ティン」
声を掛けると、ハッとした様子でこちらを振り返る。
そしてまた歩き出す…。

そのティンを私が抱き上げ落ち着かせる。
しばらくするとまた下りたがり…。

ティンは薄暗い所や隙間に行きたがった。
私の部屋のクローゼットの中にも入りたがったので
急いで中の衣装ケースなどを出し、ベッドを用意した。

中に入れると、ベッドではなく壁に向かって座り込み
壁で頭を支えながら揺れている。

鼻水もどんどん酷くなり、ヨダレが止まらない。
横にさせようとベッドに寝かせるのだけれど
鼻水がノドに詰まって辛いのか、すぐ体を起こしてしまう。
そしてまた壁で頭を支えて揺れ続ける。

主治医のK先生に電話。

セカンドオピニオンを受けたこと。
CT検査を勧められたこと。
でも体調が急変してしまったこと。
この先に待っていることはもう理解しているけれど
せめて横になって休めるようにしてあげたいこと。
もしそんな薬があるのなら出して欲しいこと。

冷静に話そうと思っていたのに
途中から涙が止まらなくなってうまく話せなかった。
でも私が伝えたかったことは伝わった。

ティンを連れてくることは可能かと聞かれて、無理だと答えた。
飲みやすいように水薬を用意することはできるが
飲ませられるかと聞かれた。
試してからまた電話すると答えて、電話を切った。

昨日の夜から、もう頑張ろうゴハンはあげていなかった。
無理に水分を摂らせることもしていなかった。

猫様が脱水状態の時、緊急の場合
乳児用のポカリを摂取させるといいとネットで見掛けて
いつでも使えるようにと用意しておいた粉末の乳児用ポカリを水で溶いて用意した。
それをシリンジでティンに与えようとした。

口の中は鼻水でいっぱいでそれ以外の水分なんかを受け付ける余裕はなかった・・・。

K先生に再び電話。
水薬も飲ませることは無理なことを伝えて電話を切った。
「何時でも、どんなことでも、手伝うから連絡をください」と言ってくださった。

もう、本当に私がティンにしてあげられることがなくなったと思った。
ただ側にいて、崩れそうになる体を支える手伝いしかできない自分が
情けなくて、申し訳なくて辛かった。


しばらくしてティンが吐いた。

どうやら溜まった鼻水を吐いてくれたみたいで、ちょっと楽そうになってくれた。




夜になった。

ティンの足取りはどんどん心許なくなっていた。
1~2センチの段差で崩れ落ちる。
しばらくしてまた立ち上がって歩き出す。
その繰り返し。


ずっとティンの後について回って見守っていたかったけれど
どうしてもしなくてはいけない日常生活の仕事もある。

リビングのソファーベッドの上にティンが横になれるようにしておいた場所に
アゴ乗せ出来る高さにフリースケットを丸めて置き、ティンを横にさせてみた。
頭を固定出来て楽なのかそのまま横になっている。

私はキッチンでしなくてはいけないことがあって
ちょこちょこティンをチェックしながら仕事を片付けていた。

何度目かのチェックをした時・・・

ティンがいない!

驚いて近づくと、ソファーベッドから床に落ちていた。
2日前のティンにとってなんでもないこの高さが
今のティンにとってはとんでもない障壁。
悲しかった。

床にビーズクッションを置いて、アゴ乗せ出来るように高さ調節して
その上に乗せた。
足腰にうまく力が入らないティンはビーズクッションの上で起き上がれない。
これで勝手に動き回ることもない。
さっさと仕事を終わらせよう。





ティンの体調に変化が出始めた頃から、気になっていろいろと調べていた。
ベッドに入っても気になってスマホで検索してあちらこちらのサイトを見まくった。

『猫風邪 ぶり返す』
『猫 鼻筋が腫れる』
『猫 額が腫れる』

検索結果には現在進行形で病気と闘っている猫様の記録。
悲しいけれど虹の旅へと旅立ってしまった猫様の記録。
苦しんでいる猫様をどうにかしてあげたいという掲示板への質問。

たくさん読んだ。

その中で

せめて温かいベッドでゆっくり横になって少しでも楽にしていて欲しいのに
わざわざお風呂場に行ってそこで横になっている・・・

そんな書き込みを多数みた。

ティンの行動を見ていると、無秩序に歩き回っているようでもあるのだけれど
部屋の隅の、薄暗く涼しそうな場所にたどり着くとそこに長くいるようにも感じた。

温めるよりも涼しくしてあげた方がティンは楽なんだろうか。



ティンを抱いて外に出てみた。

雨がポツポツ降りだして、風はヒンヤリしていた。

道路を走る車が見えるようにティンを抱いて話し掛けた。
ティンが大きなため息をついて、体の力を抜いたように感じた。

しばらくして部屋の中に戻った。


少し落ち着いていたようだったティンがまた歩き出した。
今度はキッチンの窓の所。

そこにはトイレが置いてあるのだけれど、晴れた午後にはお日様が当たって
とてもポカポカになる。

使っていないダイニングテーブルのイスを置いてみたら
ちょうど足の間のスペースにトイレも収まって
この子達のお気に入りのお昼寝場所になっていた所。

ティンを抱いて私がそこに座って、窓を開けた。
冷たい風が気持ち良さそう。
それがどういうことなのかを思うと、ただただ悲しかった。



出続けていた鼻水がちょっと治まったようなので
ティンをまたビーズクッションに。
横に座って、ティンを撫で続けた。

午前1時過ぎ。同居人帰宅。

食事をしていなかった私のためにサンドイッチを買って来てくれた。
それを食べて、30分だけ寝かせてもらうことにして横になった。

ちょうど30分過ぎた頃、同居人がティンをビーズクッションごと
私の部屋に連れてきた。

「少しでもいっぱい寝ていて欲しかったけど、ティンが落ち着かなそうで・・・」
申し訳なさそうにそう言った。

ティンを受け取り、私のベッドの上に下ろす。

立ち上がろうとするティン。

でも、もうティンは立ち上がれなかった。
2~3時間前まではふらつきながらも歩けていたのに
それが出来ない。

ティンの時間だけが何倍速ものスピードで過ぎていく。
それをまざまざと感じた。



昨晩と同じようにティンが楽そうな体勢にしてあげた状態で
ティンを抱いて座る。
もう自力では動き回れないのに、手足を規則的に動かしている。
キミは私の腕の中でも一生懸命歩いているんだね。

疲れては休む。
そしてまた歩く。
一晩中それが続いた。

夜が明け始めた頃、腕の中で苦しそうにもがいた。

もう私が抱いてあげている姿勢でも辛いみたい。
私の座っている場所の横に作っておいたベッドに横にすると
横になったまま手足を動かす。




ティンの額の腫れは人間でいうと眉間の辺りで左目の上あたり。
鼻筋の時と同じように、正面からだと多分ほとんど分からない。
左横から見ると分かる。そんな感じ。
その腫れが少し大きくなっていた。

この状態になってから先生には見せていないから
あくまでも私の推測でしかないのだけれど。
ティンがこんな風に歩き続けようとするのは、腫れが脳を圧迫して
自分の意思とは関係なくそうせざるをえないせいなんじゃないかと。

残酷だと思う。
ただでさえ苦しいのに、更にこんな苦しいことをさせるなんて。

「もう歩かなくていいんだよ。一休みしていいんだよ」

何度もそう呼びかけたけれど、多分もうティンには分かっていない。
私の声が聞こえてるのかさえ疑問だった。

完全に夜が明け、朝が来て、お昼に近づいていく。

その頃にはもう足は動かなくなっていて、腕だけを動かし続けていた。
その動きさえもどんどん弱くなっていく。
そして呼吸している証拠のお腹の上下も小さく、弱く・・・。

お腹の上下が止まった・・・と思うと
ふぅ~と大きなため息をしてまた動き出す。

声を掛けたいのだけれど、声を掛けると
ティンは手を動かし始めてしまう。
残り少ない力をそんなことに使わせたくなかった。
でも独りぼっちだとも思わせたくなかった。
だから私は撫で続けるしかできなかった。


午後2時過ぎ。
同居人が出勤。

午後3時15分過ぎ。
また鼻水が酷くなってきたようだ。
でもそれを飲み込む力はもう残ってない。




午後3時30分。
ティンが全ての苦しみから解放された。

せめて最期は穏やかに迎えさせてあげたかったけれど
それさえ叶わなかった。

苦しかったね。
ゴメンね。本当にゴメンね。




不思議だった。
苦しんでいるティンをただ見守るしかできなかった時にあれ程出続けた涙が
何故かもう出ない。

どんだけ冷たい人間なんだよ、私。
こんなにも愛して愛して、大切な存在のティンが旅立ってしまったっていうのに
涙ひとつ流せないなんて。

そんなことを考えながら同居人にLINEして、お花を買って来てほしいと頼んだ。


やっとゆっくりと眠ることが出来るようになったティン。
でも、闘い終わったティンの顔はヨダレでガビガビだった。
ちゃんと美人さんに戻してあげなくちゃ。

お湯で濡らしたタオルで何度拭いても全然きれいにならない。
最後の最後までキミの嫌いなことする母を許してね。
そんなことを話し掛けながらシャンプーをした。
本当はこんな時にそんなことしちゃいけないのかも知れないけれど
きれいにしてあげるには、それしか方法がなかったんだもの。

でもシャンプーが終わってから気が付いた。
もうタオルドライだけじゃ乾いてくれないんだってことに。
謝りながらドライヤーで乾かした。


ティンのベッドの準備。
大きさがちょうど良かったので、母がエコクラフトで作った(実は失敗作)ベッドにした。
アイスノンを下に敷いて、大好きなフリースケットも敷いて。

いつも使ってくれていたベッドにいつものように横になってるティンは
本当にただいつものように寝ているだけに見えた。

「片付けしちゃうからゆっくり寝ていてね」
そう声を掛けてから片付けを始めた。

なにか雲の上を歩いてるような感覚。
高熱が出てフワフワしてる時と似ているような、似ていないような。
そして、急に涙が止まらなくなって動けなくなった。



ティンを送るために火葬場を探さなくては行けなかったのだけれど
もうそんな気力は残っていなかった。

11時過ぎにティンをベッドごと抱きかかえたまま横になる。
1時過ぎに同居人が帰って来るまで目が覚めなかった。




その夜、ティンは同居人と一緒に寝た。

ティンが私にとって最愛の子であるのと同じに
同居人にとっても最愛で特別な子。
でも、10年以上一緒に暮らしていて、ティンは同居人と一緒に寝たことはなかった。
もちろん同居人の側でお昼寝をしたり・・・といったことはあったけれどね。
真剣に寝る時は私の側で。
彼女はそう決めていたみたい。




翌朝、ネットで火葬場を探した。
でもこんな時に限ってどうしても外せない予定と重なってしまったりする。
そのせいで、日にちで同居人とちょっと揉めた。
予定は変えられない。
かといってティンもそんなに待たせられない。

いろいろ考えて、移動火葬車を頼むことにした。
電話で問い合わせをしながら、22日に決めた。
21日に午前中の時間外でも受け付けると言ってくれたが
バタバタと送るのは嫌だったし、きちんと対処すれば
ティンの状態も悪くはならないだろうとも教えてもらったので。


一緒にいられる時間はまだある。
そう思えたけれど、時間はあっという間に過ぎて行った。

22日の朝になり、ティンを送り出した。
自宅に戻り、ティンが帰ってくるのを待った。
2時間後、連絡があり、ティンを迎えに行った。

自宅でふたりでティンの骨を拾った。



こんなにも小さな体なのに、こんなにも大きな存在だったティン。
我が家の全ての中心だったティン。

キミがいなくなってしまって私達はどうしたらいいの?

キミを送り出す前、母はウソを言いました。

「私達は大丈夫だから、ちょっと一休みしに行きなさい」

本当はね、全然自信がないの。

キミが旅立ってからまだ1週間も経ってないのに
母は悲しくて、淋しくて、どうしようもないの。

「元気になったらすぐちっちゃいちゃんになってお母さんの所に戻っておいで」
そうも言ったよね?

ねえティン?
もう元気になったんじゃない?
だったら四十九日なんて待たないで今すぐ戻ってきてくれていいんだよ?
ティンの大好きゴハンも箱で買ってあるんだよ?
大好きな抱っこも何時間でもしてあげる。
だからお願い。

ティン、戻ってきて。




ティンが旅立ってからずっといろいろ考えている。



私がティンにしてあげられることは本当にこれだけだったのか。

ティンを奪っていったのは何だったのか。

でも、もう答えは出ない。




だけど。

ティンは頑張りました。
最期の最期まで頑張りました。
どうかそんなティンを褒めてあげてくださいね。


DSC_0301(1).jpg



まとまりのない長文、最後まで読んでくれてありがとうございました。







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